人が沢山島を離れるというので、遺跡の散策を一時とりやめて、港まで見送りに行った。
さよならの船を送り出した後、それと交替するみたいに、はじめましての船が船着場についたのを見た。
また、すぐに賑やかな島に戻った。
俺とマツリは相変わらずで、別れをさほど惜しまずに迎えた。
明日また会えるみたいに、ただゆったりと見送る。
長い間そうしてきた。
寂しくない、ってわけじゃなくて、寂しがるよりも次に会うことを考えて送り出すほうが、気持ちがいいって学んだんだ。
遺跡の外で軽く買い物をして、遺跡に戻ろうとしたら移動できない。
最初の入り口から入りなおすと、がらりと遺跡の中が変わっていた。
あの国の言葉でいう、狐につままれたような気分だった。
そういえば、地震があったような気もするし、何かそんな予兆があったような気がしなくもない。
それでも、まぁこの島では良くあることなのかなあ、と深く考えずに、二つの魔法陣を二人で踏みっこして、遺跡の外に戻った。
二人で買い物をして、遺跡の中で待ち合わせしましょう、と言ったのはマツリだった。
デートみたいでいいなあ、と俺はすぐに賛成した。
勿論、ぜったい場所間違えるなよ!って念を押した。
俺と彼女の時間の捕らえ方もすこしズレがあるから、なるべく遅刻しないでね、とも付け加えた。
俺は何十年でも待てるけれどさ。
実際、何十年でも待ったもんね。
さて、買い物をしようとしたら大変なことに気が付いた。
この島でのお金をいれる財布をどっか落っことしちゃったみたいなんだ。
気が付いたら荷物を入れてた袋も、島に持ち込んだもの以外はみんなどっかにいってしまった。
泥棒かなァ。それともまたどっかに置いてきてしまったんだろうか。
でもやっぱり俺は深く考えずに、島の通貨じゃなくても大丈夫な店なんかで買い物をすることにした。
荷物になるものはあまり買い込まないようにしよう。
マツリはきっと両手にいっぱい買い物をしてしまうだろうから、
俺がそれを持てる余裕をつくっておかないとね。
さぁ、今日も一日、元気に生きよう!
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